ブログトップ

SOUND QUEST by 紅雪(Kohsetsu)

今西紅雪(音楽家・翻訳家)


by soundquest
プロフィールを見る
画像一覧

おじいちゃんの戦争体験

去年の今頃書いた日記。
2009年08月06日22:26

今、明日のライブのために音源整理してて、
レコーダーに入ってるデータを空にしようとPCに移し、
そのファイルに名前をつけたところ、
iTunesに入ってた他の何個かの音源が一緒にそのファイルに入ってるみたい?
で再生したら、、おじいちゃんの声が!


それは昔、サウンド・アーティストのプニート(Puneet Gambhir)がある日突然イギリスからやって来た時に祖父の戦争体験について聞きたいとのことでインタビューした音源だった。
当時、同時多発テロ以降、イギリスでも他民族への排他的感情が高まり、
インド系の彼女はその状況にとても怯えていた。
自分たち若者はただ怯える外にどうしたらいいのかわからないって。
それはちょうど祖父の時代戦争が始まる前と同じような気持ちがすると。
それで祖父に会ってアドバイスを聞きたいってことだった。
彼女が帰国して2ヶ月後、祖父は亡くなった。

それをきいた彼女はイギリスからこの音源と、
彼女の日本でのサウンドワークをまとめた途中経過をCDに焼いて、
手紙と一緒に送ってくれたのだった。

今日のような日にそれがふっと出てくるなんて・・・
ということで今、祖父の戦争体験を聞いている。

祖父は若き小隊長として特殊な部隊で大概自分より年上の将校を60人位連れて、
満州、台湾、香港、韓国と渡り歩いたそうな。
広東の近くで脚に弾を受けて複雑骨折し、
隊員たちが必死に助けてくれて内地(台湾)へ帰ったので生き延びた。
台湾の病院でも大変良くしてもらったらしい。
祖父はお陰で左足が少し短く、散歩の時にはよく
「上り坂より下り坂がきついんですわ~」と言ってた。

ユーモア人なのでところどころ吹き出すくらいおかしくって、
あまり悲観的な話ぶりじゃないのだけど。
悲惨な体験はしたか?って質問には
「戦争やから大概悲惨ですわ、ずっと弾くぐってるんですからな」 とさらっと。
だけどおじいちゃんそんな体験したんだーと私は初めて知って推し量れないものを感じた。

あれは苺を食べながらだった。
甘党の祖父は彼女に他にも甘いものをたくさん勧めたが、
ヴィーガンの彼女は日本に来てからクラッカーと芋と水しか食べないくらい食べられるものがなく、がっかりした祖父は「じゃあウィスキーを出しましょうか」とか言ってたしなめられている。
「ずいぶん戒律が厳しいんですな~」としょんぼりしていて笑える。
途中で祖父の家の時計や仏壇のリンの鳴る美しい音色が聴こえたら、
途端に部屋の匂いまで蘇ってなんとも懐かしい気持ちになった。
声や音というのは本当に不思議なものだ。

最後の方では
天皇についてどう思うか?
これからの日本の若者に望むことは?
日本は今後どんな国になってほしい?
など、今思えば最期にそんな言葉を残すことになるなんて、
あまりない話だと驚いてしまう。

民主主義です。
宗教を遵守するために人は対立するけれども、
本当に大切なものは宗教を超えた愛です。
人間には愛がなければこの世の中に本当の幸せは無いですな。

そう言ったところで、
じゃ、ちょうど4時なのでこの辺で。
と言って録音は終わり、Akiさんのあのトラックが始まった。。
なんなんだ、この選曲は。

why do birds suddenly appear?


追記:ちなみに映画好きだった祖父の最期の言葉は「ジ・エンド!」だった
[PR]
by soundquest | 2010-08-06 21:50 | 日々のこと | Comments(0)