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SOUND QUEST by 紅雪(Kohsetsu)

今西紅雪(音楽家・翻訳家)


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映画『小名木川物語』ついに公開!

ブログでも何度かお伝えしてきました映画『小名木川物語』がついに完成しました!
深川を舞台に、私とご縁深き方々が多数関わられて気がつけば4年の年月が。



2017年2月25日、晴れて初上映会が深川江戸資料館小劇場(東京都江東区)で開催される運びとなり行って参りました。

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深川江戸資料館は落語、笑点のメッカです。(写真は方々からお借りしています)

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プロの役者は二人だけというこの自主制作映画、会場は携わった方々、地元の方々で満員御礼です。
みなさん待ちに待ったという感じで早い時間から長蛇の列が。
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短い挨拶の後、司会者が「それではお楽しみください!」と言ってスクリーンを眺めること数分(長い)、映画が始まらない。
みんなじっと息をのんで見守っている。
突然のPC画面とビープ音にどっと笑いがおきる。
こういうシーンこそいかにも映画にありそうで、ダブルフレーム的なツボに入ってしまって手に汗握りながら大笑いしました。
こんなにドキドキしながら会場一体となって映画を鑑賞したことはありません。
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無事始まりました。
写真家の巨匠、大西みつぐさんの初監督作品だけあって、大きなスクリーンに映し出されるどのシーンもハッとする美しさ、迫力に満ちており、活き活きとした町や人々の表情と、岡野勇仁音楽監督の楽曲があわさってグイグイと引き込まれていく。
ドラマであるが言葉数は少ない。
随所に土地に所縁ある俳人、石田波郷や松尾芭蕉や登場人物達の句が挟みこまれる手法も面白く、まさに俳句的な叙情・叙景映画といった印象を受ける。
主人公役の徳久ウィリアム、ヒロイン役の伊宝田隆子という二人のアーティストとしての個性をそのまま活かしたキャラクターはじめ、登場人物全てどこまでが芝居なのか、現実とフィクションが融解したような不思議な世界。
今は無きそら庵で、チャーリー高橋がライブをしていて(リアルに懐かしい風景)そこにお客できていた喪失感溢れる主人公。
ちょっと歌ってみない?と言われて歌うのが超絶ホーミーです。
なんなんだこれは?!となるのかならないのか、感覚が麻痺している私には分かりませんが面白い。
リアルフィクションだとあまり無い設定も、ドキュメンタリー性から導かれる偶然を取り込みながら展開していくこの作品ならではの魅力になっているのでしょう。

あまり書くとネタバレになっちゃうので気をつけないといけませんね。

音楽の方も、正直いつのまにこんなに作っていたのかと驚くほどのバラエティーに富んだ珠玉の楽曲の数々で、全体を通して大きなテーマが流れ、映像を包み込んでいて素晴らしかった。
これはサウンドトラックのアルバムが作れたらと思わずにはいられない。
私の箏と笙の日比和子さん、ボーカルの行川さをりさんのそら庵トリオでレコーディングした曲はどんなシーンで登場するのだろう、、緊張しながら観ましたが、これが編集の妙でとても良いシーンで効果的に使っていただいていて、自分の音がちゃんと映画の中に組み込まれ仕事をしていることにホッとしたり感動したり。
エンディングスクロールでは音楽家として、そしてエキストラとしても名前を掲載していただいていて、この映画のチームの一員になれたことに改めて感激しました。
会場にいらしたチャーリーさんからも箏のシーンを褒めていただけて安堵。
エキストラは箏奏者としてではなく、とてもエキストラ的に参加させていただいたのでほとんどの方が気付かなかったとのことでしたが、竹田賢一さんに箏の音もエキストラの時もすぐに私だと分かったと言っていただいてびっくり、嬉し恥ずかし。
ちょうど怪我をして音楽活動を休止していた時期で、まだよく歩けないけど舟に乗せてもらって燦燦陽の光を浴びながら隅田川から小名木川をクルーズした長閑な撮影の時間、反射する水面の模様、いつも通っていた萬年橋を下から眺めたり東京の景色がとても新鮮に見えた事、忘れがたい体験をさせていただきました。
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(久家道子のかばんで即バレか。写真は公式ページより)

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終演後は舞台挨拶の後、徳久ウィリアム氏のボイスパフォーマンスが(これが短かったけど素晴らしかった!)。
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そしてYukkiy、岡野勇仁、坂村 宰トリオによるエンディングテーマ曲「深川キラキラ」のミニライブに手拍子で盛り上がりました。
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終演後、大西監督の舞台挨拶は胸を打つものでしたが、最後に「どうぞこれからもこの風景をしっかりと見てください」と仰っていたのがさすが写真家の言葉でした。見ているつもりで見ようとしていなかった日常の風景も、この映画を鑑賞した後は見え方が変わりそうです。

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撮影期間4年の歳月を経て、映画の中に登場する店がいくつも無くなっていたり、人間模様も変化していたり。
でも私が東京に来て新鮮な気持ちで歩いた町のひとつの時代の姿がここに残るという事が嬉しく、溢れる愛情で切り取られた数々のシーンはドキュメンタリーとしても大きな価値ある作品に仕上がっています。
小名木川の一体が東京大空襲で焦土となり10万人が命を落としたこと、もう知らない世代がほとんどだろう。
灯籠流しの夜、橋の上から静かに手を合わせるヒロインの姿に、大切な事に気付かされたのは私だけではないでしょう。

男女のストーリーとしての抑揚はかなり抑えられており、結末にも多くの余白を含むものですが、
ひょんなタイミングで軌道が重なり、やがてはまたそれぞれに流れて行く、そんな清々しい循環を思いました。

「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。
舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅を栖とす。」

川とて同じ川でなく。

今この地域に関わる人々を巻き込んで、これほど大規模なローカルムービーに結実したのは、監督の地元であることや、長年清澄白河で「そら庵」を主宰し、『深川福々』というローカル紙を制作されてきたプロデューサーの東海亮樹、明子ご夫妻のご人徳あってのことでしょう。
関係者の皆様、長きに渡る制作お疲れ様でした、
そして完成心よりおめでとうございます!
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(私の馬鹿メラの画質が悪くてすみません。監督のカメラのバージョンに期待。。!)

※今回の上映会はチケットが即完売してしまったのですが、次は4月9日(日)19時より江東区古石場文化センターにて上映されるそうです。ご興味持たれた方はぜひ足をお運びください。(チケットは3月10日発売)
また、今後順次上映できる機会を募集していますので全国各地の映画ファンの皆様よろしくお願いします。
official HP: http://onagigawa.com/





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by soundquest | 2017-02-28 22:28 | 参加作品 | Comments(0)